第42回臨時全国大会
大 会 宣 言
新型コロナウィルス感染症のパンデミック以降、世界中で「仕事」のあり方が大きく変化した。テレワークなどオンライン上の業務が大幅に増えたことで、人と人とのつながりが急激に希薄となった。
企業の中には原則として出社を廃止する方針を打ち出すところもあるなど、多くの労働者が孤立し、苦しんでいる。
さらに一部の企業では、コロナ禍を理由に、大幅な人員削減や給与体系の見直しをする動きも見られ、予断を許さない状況が続いている。
こうした労働環境の変化は、音楽界も例外ではない。オーケストラ界では、コロナ禍により公演中止を余儀なくされたことによる減益の影響が今なお続いている。
また、多くのフリーランスの音楽家も同様に、この二年間で仕事が大きく減少し、職業として音楽を続けてゆくことが困難になりつつある。
国際的には音楽家が労働者として認められていない国や地域もあり、コロナ禍を乗り切るための支援を受けられず、数多くの音楽家が廃業に至っている。まさに音楽界全体が苦境にあると言える。
本来、労働組合は、こうした苦境にいる労働者を救う役割を担う。音楽の世界においても音楽家同士の「連帯」をより強くする事や、「連帯」を社会全体に広げてゆく事で社会的・経済的地位が確立される。音楽ユニオンは、その「連帯」の扇の要となるよう音楽家の立場に寄り添った組織運営に努め、コロナ後の音楽業界復興に尽力する。
更に国や自治体の文化政策に積極的に関与し、充実させることで、文化芸術立国としての展望が拓け、若い世代が安心して音楽家を志す事ができ、芸術文化の世界がより良いものになってゆくと考える。
戦争や人種、病気や格差、性別など多くの不条理により、人々の心が蝕まれる中、音楽にはそれらを癒し、希望と力を与える事ができると信じる。
来年二〇二三年には、音楽ユニオン発足四十年を迎える。これからも私たちは先人の遺志を受け継ぎ、音楽で人と人をつなぎながら心豊かな社会と真の音楽家社会の実現に向け、一層とりくみを進める。
右、宣言する。
二〇二二年七月二十日
日本音楽家ユニオン第四十二回臨時全国大会