内閣府知的財産戦略本部の下におかれた構想委員会において、
「知的財産推進計画 2026」の策定に向けた意見を募集があり、音楽ユニオンでは以下の内容を提出しました。
1.基本的な考え
・当団体は、著作隣接権を含めた権利者の財産権・人格権の尊重に立脚したAI技術との共生と、それに伴う新たな表現の追求を基本スタンスとしています。
・知的財産推進計画2025で掲げられた「法・技術・契約の相互補完」によるエコシステムの実現には強く賛同しますが、現状では「法」と「技術」による保護が不十分であり権利者が財産権を保護する手段が「契約」に過度に依存している点に強い懸念を抱いています。
2.適正な契約と対価還元の実現(P16関連)
・フリーランスの実演家は、発注事業者との圧倒的なパワーバランスの差により、契約において十分な保護がなされない蓋然性があります。
・フリーランス法や著作権法を踏まえ、音楽実演家に特化した契約ガイドラインやモデル条項の作成を文化庁等の関係機関と連携して推進することを求めます。
・具体例として、デジタル時代においてストリーミング等の再生回数に基づいた報酬を適正に受け取れるよう、報酬算定根拠の契約書への明示を義務付けるべきです。算定根拠が不明確な状態では、フリーランス法がめざす取引の適正化は達成できません。
3.生成AIと知的財産権の保護(P17関連)
・現行の著作権法第30条の4は、その解釈が広範すぎるため、音楽家をはじめとする権利者に多大な不利益をもたらしています。
・音楽のAI学習は単なるデータの統計的解析にとどまらず、実演家特有の歌唱法、音色の変化、リズムの揺らぎといった表現上の本質的特徴を抽出し、再現することを目的としています。これは「享受」を目的とした利用に他ならず、現行法の「非享受目的」の枠外として厳格に運用されるべきです。
・また、権利者の許諾なく大量の音楽データがAI学習に無償利用され、新たなコンテンツが生成されても、元の権利者に正当な対価が還元されない現状は極めて不公正です。
・さらに、海賊版サイト等からのAI学習は権利者の利益を不当に害するものであり、これを禁止できないガイドラインでは保護の実質が伴いません。知的財産推進計画2026では、基本方針である「権利保護とAI進歩の両輪」の実現に向け、早急に実行力のある対応を求めます。
4.海賊版対策とAIの活用(P34関連)
・音楽分野の「海賊版対策連絡協議会」の活動をさらに活性化させ、著作権侵害の判断にAI技術を積極的に活用する等、技術的な対策を推進することを強く求めます。
5.クリエイターの環境整備と権利拡充(P22,104,113関連)
・創造人材の確保に向け、社会保障の拡充、ハラスメント対策、および安心安全な創造環境の整備を包括的にめざすべきです。
・録音物の利用に対する報酬請求権の範囲を、現行の「営利目的」から「伝達」へ拡大する方針に賛同します。
・デジタル化に対応した「レコード演奏・伝達権」の早期成立・施行に向け、世論および関係業界への理解促進に努めてください。
・多様な利用形態に対応した権利処理の普及や制度整備、収益最大化のための技術開発を継続して求めます。